
ハーレーダビッドソンのラインアップは日本車がだいたい排気量別で揃えているのに対して、「○○ファミリー」といった感じで一台の車種をベースとした派生型が大量に存在する。
ベースは同じため当然そっくりになるわけで、「ハーレーってみんな同じに見える」というアワレな貧弱一般人の意見はあながち間違っていない。
2015年モデルはソフテイル、ダイナ、ツーリング、スポーツスター、VRSCと5つのファミリーが存在する。VRSCファミリーは発売から12年経った現在、各ファミリーの中では一番少ない2台がラインアップされている。本当はもっといたが不人気でいくえ不明。
ここではせっかくだから歴代のモデルも含めてサラッと解説。
一目で分かるVRSCファミリーの年表はこちら。

2002年発売のいわゆる初代V-ROD。後に2007年のVRSCAWへと発展する。HDの伝統と水冷DOHCエンジンをくみあわせた、まったく新しいバイクである。
前後をディッシュホイール、今までのバイクにはない形状の流麗なマフラー、全体をシルバーで統一した外観。それまでのハーレーのイメージを覆す近未来的なデザインによる初登場時のインパクトは強烈無比。
う、美しい…。
しかしインパクトはあったが水冷DOHCという伝統から外れる「異端」なエンジンのせいなのか、本国では爆発的なヒットとはいかなかった。

※上記画像大、HDJ公式サイトダウンロード壁紙

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2004年発売のVRSCファミリー2台目。
フレーム、リヤサスペンションスプリング、ブレーキキャリパー、エンジン(一部)等をブラックアウト。光り輝くクロームメッキとは対極をなすブラックモデル。
HDの各ファミリーには大抵1台ブラックモデルが存在することが稀によくあるらしい。またハンドルライザーが着脱が容易なものに変更された。
価格もVRSCAより20万円近く安くお買い得。販売自体は2005年終了と短命に終わったが、VRSCBのブラックコンセプトは2006年発売のVRSCD/ナイトロッドに受け継がれ、より洗練される。
2005年発売のスポーツモデル。ストリートロッドという固有名詞が付いた。
これ以降、単にV-RODといった場合VRSCA/B/Wのことを指す。
ロー&ロングの従来のスタイルを踏襲したV-RODでは、そのエンジンパワーを十分に生かせない。そこで出てきたのがこれ。
倒立式フロントフォーク、ブレンボキャリパー、後方に配置されたペダル、5psアップの120psエンジン、キャスター角34度→30度、最低地上高は他のモデルより約40mm高く設定される等、ヤル気満々ぶり。HDのラインアップの中では最もスポーティーなモデルといって間違いないだろう。
しかし「ハーレーでスポーツ走行」というコンセプトがまずかったのか、本来のロー&ロングなスタイルから外れてしまったストリートロッドは欧州など一部で需要はあったものの、全体的に見れば今一だったらしく、2007年で販売は終了した。パーツに互換性があまりなかったのも問題と思われる。
オーナーがバイクに求めるものは必ずしも性能ではないという趣向の一つの例といえるのではないだろうか。

※上記画像HDJ2006年カタログ、ダウンロード壁紙

※上記画像大、HDJ公式サイトダウンロード壁紙
2006年発売。ドラッグレース専用のスペシャル仕様。 嘘のようだが実際に発売された。希望小売価格は360万円。
ドラッグレースとは400mの直線で速さを競う競技である。専用モデルなので当然ヘッドライトやウインカーといった保安部品は付いていない。
直線番長。公道走行不可。後方に長く伸びたウィリーバーが素敵だ。エンジンも専用のチューニングを施され排気量は1300ccにアップ。
最高出力は165ps/9700rpmに達する。え?日本車はドノーマルで170psオーバーする?聞こえんなぁ~。
しかしそもそも日本で需要はあるのか、一体何台売れたのかちょっと気になる。
ちなみにCVOとはカスタム・ビークル・オペレーションズの略で、ハーレーダビッドソン自社で抱える限定版高級モデルの製作部門のことである。
ただでさえ高額なハーレーが更に100万円以上上乗せされて大変な金額になるが、取り付けたパーツや工賃を考えると後でそれらを揃えた場合より安くなるので自分の目指すカスタムと合致していた場合、意外にお買い得になるかもしれない。
2006年発売のVRSCファミリー5台目。
VRSCBをさらに突き詰めた仕様でより「黒さ」が倍増。ヘッドライトに小型のスクリーンバイザーが追加されドラッグスタイルが強調されている。
初見の感想は素直に「かっこいい」と思った。それでいて価格はVRSCAより30万以上安いというお買い得モデル。この点もVRSCBを引き継いでいる。
写真では分かりづらいがエンジンのクランクケースカバーやヘッドカバーは実はクロームメッキじゃなかったりする。この辺りに価格低下のしわ寄せが見れるがクロームメッキに興味がない人にはむしろ万々歳だろう。
2007年に豪華版VRSCDXに発展。後を譲るように2008年モデルを最後に販売は終了した。
余談だが2006モデルから全車ブレンボキャリパーを採用するようになった。

※上記画像大、HDJ公式サイトダウンロード壁紙

※上記画像大、HDJ2012年版カタログ
2007年発売。ナイトロッドの豪華版。
通常のナイトロッドからさらにエンジン周り、フロントフォーク、前後ホイール、ステアリング、スイングアーム、マフラー(一部)等をブラックアウトし、名実共にまさにナイトロッド。リアホイールも240mmと超ワイド化。
2012年モデルでは倒立フォークに変更、リアフェンダー形状変更、ヘッドライトカウルは外された。
漆黒に包まれたその厨二病攻撃的な外観は男の子なら本能で分かるだろう…
こいつは「カッコイイ」と。
凄いなー憧れちゃうなー。
全体をブラックに仕上げたことによりダークパワーが宿り闇属性に見える。ダークパワーっぽいのはアワレな貧弱一般人が乗ると頭がおかしくなって死ぬ。つまり平然と乗っているオーナーは頭がマジ強い。
価格は同時に発売したVRSCAWとほぼ変わらなかったため、管理人はどちらを購入するか非常に迷った。
2007年発売。VRSCAの進化版。
「W」は「WIDE」を示す。リアホイールがそれまでの180mmから240mmにワイド化された。意味はそれだけ。ついでに目立たないが燃料タンクも4L拡大して18.9Lとなった。
せっかくだから、俺はこのV-RODを選ぶぜ!
余談だが2008年モデルでは管理人が購入した105周年記念車(右画像)が何を血迷ったか、近未来バイクであるV-RODにクラシカルなスポークホイールを採用するという神をも恐れぬ愚行を犯してくれた。
多分これが原因でさらなる売上不振に陥ってアワレにもVRSCAWは2011年からカタログ落ちとなるのであった。
ちょとsYレならんしょこれは・・?想像を絶する悲しみがキョウヤを襲った。スポークホイールを付けた人は早く謝ってください!はやくあやまっテ!
ちなみに2008年モデルから全車排気量が1250cc(1246cc)にボアアップされた。

※上記画像大,、HDJ2008年版カタログ

2009年発売。現VRSCファミリーの末弟。コンセプトが不明な謎の一台。
倒立フォークを装備していることからスポーツモデルかと思うが、最低地上高は105mmとナイトロッド並みに低い。エンジンにも特に専用のチューン等はされていないようだ。
最新型らしくテールランプ、ウインカーはLED。専用のマフラーは左右1本づつに振り分けられるデザインとなっている。タンクのカウルのリベットがカコイイ。
しかしなんといってもこの車両の素晴らしい点は名前だろう。マッスル…筋肉好きの管理人にはたまらないネーミングだ。ぶっちゃけ名前だけでお腹一杯。
2012年発売。3年ぶりの新モデルでV-RODの10周年記念モデルでもある。
2012年、実はV-RODはあまりの不人気ぶりに日本への輸入モデルは無くなるのではないかという噂が流れていた。
しかし蓋を開けて見れば10周年記念モデルという新たな1台を加えラインアップを3台にして登場。見ろ、見事なカウンターで返した。
内容としてはV-RODとナイトロッドスペシャルとマッスルを足して3で割った感じ。今シリーズから全車共通で倒立フォークとなった。
またリアフェンダーも形状を変更して標準でLEDテールが装備された。
なお、限定モデルのため2012年だけの命である。



各車両の発売から終了までを分かりやすくまとめました。表の「終」はその年度を最後に生産が終了したという意味です。
この表から見ても分かるように全盛期最大で4台のラインアップを揃えていましたが2015年モデルではナイトロッドスペシャルとマッスルの2台のみがラインアップされている。何?少ない?ファミリー壊滅するよりマシじゃない^^;
個人的に私のWRSCAWが2010年で終了したのがショックだった。これソフテイルやツーリングでいったらスタンダードが生産終了したようなもんでしょ。と思ったら両方とも生産終了しているというあるさま!とにかくこれによりV-RODという名称のバイクは消滅してしまった。
ちなみにデストロイヤーとANV(アニバーサリーモデル)は限定モデルという点で仕方がないが始まったと思ったら終わっていた。
